偉さの単位は「ありがとう」

偉さの単位は「ありがとう」

すごーく、分かりやすい話です。

こんなに子供に伝えられたら
良い子に育ちますね。

是非、お読みください。

いじめっ子のゴンちゃんは、
今日も幼稚園のお迎えのバスの中で、
お友達を泣かせていた。

いつものようにゴンちゃんに注意しようと
席を立った幼稚園の先生に、
バスの運転手が言った。

運転手のおじさん
「さくら先生、
 走行中は危ないから立たないで下さい。
 僕が、聞いてみますよ。」

そう言うとバスの運転手は、
車内放送用のマイクを使って
ゴンちゃんにたずねた。

運転手のおじさん
「ねぇ、ゴンちゃん。
 どうして友だちを泣かせたの?
 おじさんに聞かせてくれないか?」

ゴンちゃん
「座りたかった窓側の席に、
 コーキくんが座っていたから、
 どかしただけだよ。

 だって、僕のほうが偉いんだから、
 コーキくんは席を譲るべきでしょ?」 

運転手のおじさん
「君は、間違っているよ。」

ゴンちゃん
「間違ってないよ!
 僕のほうが、偉いんだもん!!」

運転手のおじさん
「おじさんが言っているのは、そこじゃないよ。
 やり方を、間違えているんだよ。

 ゴンちゃん、
 そこから右前の黒い車が見えるかい?」

ゴンちゃん
「うん、見えるよ。
 こっちに曲がろうとして止まっている車でしょ?」

運転手のおじさん
「そうだ。あの車はね、右折車って言ってね、
 こちら側に曲がりたいんだ。
 どうすれば、あの車は曲がれると思う?」

ゴンちゃん
「こっちの車が通りすぎた後に、
 曲がれば良いんじゃないの?」

運転手のおじさん
「そうだね。
 でも、朝だから、
 車はずーっと途切れないんだよ。

 だから、曲がるためには、
 こちら側を走っている車が止まって道を譲らないと、
 曲がれない。」

ゴンちゃん
「あの車に乗ってる人が、もしも総理大臣だったら、
 偉いから、みんな道を譲るけど、
 普通のサラリーマンじゃん。
 誰も道なんて譲らないよ。
 みんな、急いでいるんだし。」

運転手のおじさん
「そうなんだ。誰も、道を譲らないから、
 曲がれないであの車は困っている。
 
 よし、おじさんは別に急いでないから、
 ちょっとバスを止めて、
 あの車を曲がらせてあげようか。」

そう言うと、
運転手はライトでパッシングの合図を送り、
右折車を曲がらせた。

運転手のおじさん
「ホラ、ゴンちゃん!いまだ!!
 あの車の運転手を見てごらん!!
 ホラ、今!!!」

バスの前を横切る車の運転席には、
頭を何度も下げているサラリーマンがいた。

運転手のおじさん
「見たかい?
 あのサラリーマン、曲がる時、
 おじさんに、めっちゃペコペコして通って行ったよ?

 これが、どういうことだか、分かるかい?
 おじさんのほうが、めっちゃ偉いということだ!!
 わっはっは!!」

ゴンちゃん
「どういうこと?」

運転手のおじさん
「どういうことって、どういうこと?
 ゴンちゃんが、見たとおりさ。

 道を譲ったおじさんのほうが、
 めっちゃ偉いんだよ。

 その証拠に、あのサラリーマン、
 おじさんにめっちゃペコペコしてたじゃん。

 おじさんの方が偉いから、
 ペコペコするんだろ?
 なぁ、ゴンちゃん。

 君のほうが、
 コーキ君より、偉いんだろ?

 だったら、さっき、
 席を譲れば良かったのに。

 バカだなぁ~。
 ただ席を譲るだけで、
 人は「ありがとう」って
 頭を下げてくれるんだよ?

 その瞬間、どっちの方が、偉いんだい?」

ゴンちゃん
「頭を下げさせている人の方が、偉い・・・。

 そうか!席を譲ったほうが、偉いじゃん!!

 だって、席を譲った瞬間、
 ペコペコされてるんだから!!」

運転手のおじさん
「そうなんだよ。
 君は、たったの6才で
 この秘密に気づいたんだよ!

 この街の大人たちだって、
 誰一人として知らないんだぜ?

 アイツら、みんな、バカみたいな顔してさ、
 誰にも道を譲らなかったじゃないか。

 おじさんはね、
 33才の春にやっと気づいたんだ。

___________________

 簡単に、偉くなれる、この方法にね。

 誰かに、何かを譲るだけで、
 めちゃくちゃ頭を下げられる。

 頭を下げられている瞬間、
 間違いなく、おじさんのほうが偉い!!

 そんな瞬間を、たくさん集めていったら、
 おじさん、24時間ずーっと
 偉い人で居続けられるんだよ?
____________________

 一日中、ずーっと、
 みんなに、ペコペコされているんだから!

 あの総理大臣よりも偉いよ!」

ゴンちゃん
「すげーや、おじさん!この方法なら、
 簡単に、偉くなれるじゃん!」

運転手のおじさん
「そうなんだよ。めっちゃ、簡単!

 なのに、誰も知らないんだ。
 おかしな世界さ。

 ホラ、また右折車だ。
 はい、どーぞーっと。

 ね?ペコペコしてたでしょ?
 
 はい、また、どーぞっと。

 ホラ、今の車なんて、
 後ろの席に座っていた人まで、
 ペコペコしていた。

 きっとあの人、
 どっかの社長だよ?

 社長よりも、
 「偉い瞬間」だったわけさ。

 凄いだろ、おじさん!
 もう、会長って呼んでくれよ。

 どうだい?
 ゴンちゃんも、もっと、もっと、
 偉くなりたくないかい?」

ゴンちゃん
「なりたい!」

運転手のおじさん
「じゃあ、簡単だよ。
 今日からは、お友達に、たくさん「ゆずる」んだ。

 ゆずると、絶対に誰だって、
 「ありがとう」って言うさ。

 ここは、日本だから。

 要するに、この「ありがとう」を、
 一日に何個言われるかで、
 偉さが決まるんだぜ?

_______________

「ありがとう」は、
 言われる側にとっては、
『偉さの、単位』なんだよ。
________________

1回ありがとうって言われた人は、1エライ。

10回言われたなら、10エライ。

100回なら、100エライだ。

「ゆずる」ことで、
 エライ瞬間を集めていくんだ。

よーし。
じゃあ今日は一日、幼稚園で、
何回友だちに「ありがとう」
って言われたか、数えてご覧。

そして、
帰りのバスで発表会しよう!!
目指せ、300エライ!!

お友達に、
「ゆずる」ができるひと~てーあげてー。」

園児たち
「はーい!!!」

何度も対向車に道をゆずったバスだったが、
一分も遅れることなく、
定刻通りに幼稚園の門をくぐった。

ゆずることで、得たものはたくさんあれど、
このバスにとって失うものは無かったようだ。

世界で一番、偉いバス (さとうみつろう)

偉さの単位は「ありがとう」。

幼稚園児にも、わかることですよね。

わかる言葉で、
わかるように伝える。
すごい力ですね。

今日は、前の席が空いたら
「どうぞ。」と譲ってみましょう。
笑顔でね。

さあ、
今日も元気で生きましょう。

  
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